カッコ笑い

　後ろの席の友人、シュウガが話しかけてきた。
「レイジってさぁ…その懐中時計、カイチュウで使ったことあるの？」
　絶句。
「…カイチュウって知ってる？」
「知ってるよ。海の下…海の中だろ？」
「…海中時計？」

　昼休み、雅が話しかけてきた。
「弁当一緒に食べようぜ〜ぃ」
　隣りのクラスのあんちゃんが何故私より早く弁当を食べているのだ。
「昨日さぁ、小学校のアルバム見てたんだけどぉ」
　唐突やね。
「うん」
「『この人の性格』って欄があるのぉ。自分のじゃなく他の人に書いてもらうんだけど」
「うん。で？」
「ウチのクラスでさぁ…ひとり『盲腸になったよ』って書かれてたヤツいてさぁ…よっぽど書く内容に困ったんだろうな」
「ぶは！性格じゃないじゃん！（笑）」
「あとさぁ…口癖が『せれでいいんじゃない？』ってヤツいたんだけどさぁ…そいつは『よく相談に乗ってくれる』って書いてあった」
「それは書いた人が面白いなぁ」
「あとさあとさ、『将来の夢』ってのあるじゃん？」
「ん、あるねぇ」
「『野球選手』とか『看護婦』とか『弁護士』とかいろいろあるんだけどさ…」
「うんうん」
「ひとりやたら地味なヤツいてさ…『犬が飼いたい』って（笑）」
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！（爆笑）」
　玉子焼きを含んでいる為、声を上げられない。
「ダメだ…ツボった…」
　うつむいて吹き出さないように堪える私。
「それでさそれでさ、まだ面白いのあるんだけど…これは聞く前に口の中をカラッポにしたほうがいい」
「ん……………オッケィ」
「あのね……『旅行に行きたい』って」
「はははははははは！！！（爆笑）」
「旅行に行けばいいじゃんかよ！！（笑）」
「ダメだ…その子のファンになるかも…」
「面白いっしょ？」
「人様を笑いものにするのはよくないが…面白すぎだ…」
「じゃ、食堂行こうぜぃ」
「わたしゃまだ食べとる！」
「食うの遅ぇな〜」
「アンタが笑わすから食べらんないんでしょーが！」
「じゃ、先に行ってるから」
「わたしゃ行かんぞ！」

　くだらない高校生活。