帰り道

いろいろ考えてみる。

土曜日。
下校時間は平日よりかなり早い。
時間的には、今から貴女に逢いに行く事も可能。
金銭的には不可能だが。

そういえば。
今年は例年より多くお年玉を貰った。
五万円。

四ヶ月が経とうとしている今。
既に六万円を遣った。

六万円とちょっとあれば、貴女に三回は逢いに行けたのに。

何故そんな無駄使いをしてしまったのか。
　欲しいものが沢山あったから。
限度という物があるだろう。
　気がついたら六万円遣っていた。

悔やむ。

手持ちの金は一万円を切った。
銀行に何万円か預金してあるが、今まで遣わなかったそれを、
一度でも引き出してしまったら。
自分を抑制できなくなる。

月に小遣いが五千円。
学生の強み。安定した収入。
しかし高校二年でこの値段、多いのか少ないのか。

つまり貴女に逢う為には、五ヶ月が必要。

手っ取り早く金を手に入れる方法はないものか。

バイトしたい。
しかしうちの高校は全面的にアルバイト禁止。
学力低下気味な今、勉強をしないわけにはいかない。
いい加減、塾に通うはめになるかもしれない。
来年は受験だ。
学生の悩み。
来年は貴女には逢えないかもしれない。
だからこそ、今逢いたい。

恐喝。
万引。
etc。
出費をすることなく収入を得る方法。
おいしい話である。
無論、犯罪である。

そんなことができるほど、私は度胸を持ち合わせてはいない。

六月上旬。
修学旅行がある。
親から必要経費として、いくらか貰えるだろう。

着服。

四泊五日だったか。
何回、自由食事があるかわからないが。

断食。

しばらくの飢えに耐えることで、金が手に入る。
かなりおいしい話である。
やってみましょう。

親を騙さなければならないが。
嘘をつくのは辛いことだが。

それ以上に貴女に逢いたいから。
貴女に逢う為なら、汚れたって構わないから。